お熱について

■ 大人の体温は36.5度くらいで安定しています。
37度以上にもなると、頭がぼーっとしたり、背筋がぞくぞくしたりします。大人に比べて、こどもの体温は不安定で、少し高目です。
■ どれくらい熱があると「発熱」と呼ぶのでしょう。
私はとりあえず37.5度以上を「熱」として考えることにしています。
■ こどもの体温が不安定な理由は、体重のわりには体表面積が大きくて、“温まりやすく、冷めやすい”からです。
■ 部屋の温度や、着ている洋服などによっても体温は変化します。
■ 新陳代謝が活発なことも体温が高い理由です。
■ 一日のうちで、最も体温が低いのは早朝のすやすや夢を見ているときです。高いのは夕食の頃です。
■ 大泣きした後、ミルクをたくさん飲んだ時、おふろの後、興奮した時にも、熱は少し高めになっているはずです。
■ 熱を表に付けてみましょう。病気の経過がよくわかります。

■ 「熱がでて、なにが悪いんだ」と、ひらきなおって考えたことがありますか?
子どもは38度以上の熱があっても元気に遊んでいることがあります。
■ 高熱によって体が困ることの第1は発熱のために余分なエネルギーや、水分を消耗することです。第2には熱性けいれんと言われる「ひきつけ」を起こすことです。
■ 熱が出ることによって助かっていることもあります。それは、体が細菌やウイルスといった病原菌と戦うときには体温が高い方が有利だからです。
■ しかし、あまり高い熱が続くと「こんなに高い熱が出ると、頭がおかしくなるのでは?」と心配になってきます。発熱だけで脳に異常をきたすことは滅多にないので、あわてる必要はありません。
■ 体温が38.5度以上になると体力の消耗が始まります。十分な水分を補給する事が大切です。ぐったりして、機嫌が悪いときには解熱剤を使って体を楽にしてあげてもよいでしょう。
■ 42度以上の高熱の時には。熱を速やかに下げるために出来るだけの努力をしなければなりません。
■ 熱は、熱そのものよりも、なぜ熱が出ているかが重要です。熱の原因になっている病気を一刻も早く見つけ出して治療することが大事です。
熱を下げるために
■ 38度以下の熱で、機嫌も良く、元気にしているときには、あわてて熱を下げる必要はありません。
■ まず着ている衣類を楽にしましょう。けっして、暖めないでください。発熱時に厚着をさせたり、毛布でくるんだりすると、皮膚から熱が逃げて行くことができなくて「うつ熱」という現象を起こして、さらに熱が高くなる危険性があります。
■ 十分な水分と塩分をあげましょう。熱が高いときには、体は沢山の水分を消費しています。知らない間に「脱水症」を起こします。
■ 体をぬれたタオルでふいて上げましょう。タオルをぬるま湯に浸して、少しゆるめに絞って、体をくまなく拭きましょう。「気化熱」の原理で皮膚から水分が蒸発するときに熱を奪ってくれます。
■ 氷や保冷剤で、おでこや、首のまわりや、わきの下を冷やすと熱は下がりますが、嫌がる子どもを押さえつけてまでやる必要はありません。
■ おでこに貼る冷えピタシートは、子どもが好きなら貼ってもかまいませんが、熱はそれほど下がりません。自分でシールを払いのけることの出来ない赤ちゃんには鼻をふさぐ危険があるので、貼ってはいけません。
■ それでも熱が上がってきたら、解熱剤の力を借りて熱を下げます。解熱剤は、熱を一時的に下げるのが主な作用です。発熱のもとになっている病気を治す薬ではありません。出来るだけ最小限にしましょう。