リラックス離乳食 その1
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■ 家族の絆が育ってゆくためには、同じ食卓を囲んで一緒に食事をすることがとても大切です。
離乳食は、赤ちゃんが食卓へデビューするための準備です。さあ、お母さん、ゆっくり、リラックスして、離乳食を始めましょう。
■ リラックス離乳食
離乳とは、赤ちゃんが形のあるものが食べられるようになるための準備です。離乳食の進め方には、大まかなルールはありますが、「これでなければだめ」と言った規則はありません。赤ちゃん自身の進み具合と、家族の食事の時間に合わせてゆっくり始めましょう。食事は人生の楽しみの一つです。あなたの赤ちゃんと、その楽しみを分かち合えるように準備を始めていくのですから、離乳食をむつかしく考えることはありません。うまくいかないときは、いつでも、戻れば良いのですから。
■ 日本人は離乳食の名人
離乳食の進め方や献立は、世界各国で様々です。ところで、日本人は離乳食の名人であることに気づいていますか?
それは、私たちの主食が「ごはん」であることと、多彩な魚介類や野菜を調理して食べる習慣を持っているからです。私たち成人が食べている食事のメニューを、ちょっと工夫するだけで、簡単に離乳食の献立を作り上げることが出来るのです。お料理自慢のお母さん、ぜひ離乳食にもすばらしい腕を振るってあげて下さい。
■ ベビーフードは赤ちゃんが安心して口に出来るように防腐剤、添加剤、塩分の含有量などきびしい基準で作られています。離乳食を作る時間がないときには便利です。
それから、お母さん、ベビーフードの味見をしてみて下さい。「味が薄くって、ちっともおいしくないわ」が離乳食の基本の味です。
■ 離乳食の始まり
生後5~6ヶ月ころ、赤ちゃんの口がもごもごと何か欲しそうな仕草を始めたときが離乳食を始める目安です。離乳食を始めた頃は、母乳やミルクで十分な栄養をとっているのですから、栄養のことを心配する必要はありません。ゆっくり、赤ちゃんの口元やお腹の具合を観察しながら始めましょう。
■ 離乳食のおおまかな目安
□ 生後5~6ヶ月ころ
子どもの様子を見ながら1日1回1さじずつ始める。母乳やミルクは飲みたいだけ与える。食事は、なめらかにすりつぶした状態。
□ 生後7~8ヶ月ころ
1日2回食で、食事のリズムをつけていく。いろんな味や舌触りを楽しめるように食品の種類を増やしていく。食事は、舌でつぶせる固さ。
□ 生後9~11ヶ月ころ
食事のリズムを大切に、1日3回食に進めていく。家族一緒に楽しい食卓体験を。食事は、歯ぐきでつぶせる固さ。
□ 生後12~18ヶ月ころ
1日3回の食事のリズムを大切に、生活リズムを整える。自分で食べる楽しみを手づかみ食べから始める。食事は、歯ぐきで噛める固さ。
リラックス離乳食 その2
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■ 手づかみで食べるのも大切です。
食事を手でつかんで、自分の口に運ぶことは食事の基本です。欧米では赤ちゃんの指のことを「アダムのフォーク」と呼ぶくらいです。もぐもぐが上手になるころには、何でも手でつかんで口へ持っていくようになります。洋服や顔はぐちゅぐちゅ、床には食べ物が散乱します。後片づけが簡単に済むように、新聞紙やビニールシートをひいたりする工夫が必要です。離乳食の後には、顔と手をお湯で洗い流しておくことも忘れずに。
■ 塩分は控えめ
赤ちゃんの腎臓は、大人にくらべると未熟です。塩分の取りすぎは腎臓や心臓などに負担をかけます。それに、乳児期から塩味の濃い味になれると、大きくなっても塩辛い食事を好むようになって、将来の肥満や、高血圧などの引き金になることがあります。うどん、パン、かまぼこ、ソーセージ、ハム、チーズ等には塩分の濃いものが多いので注意が必要です。大人が味見をして「うまい」と感じるときは、塩分は濃すぎると考えてよいでしょう。離乳食は素材だけの塩分で十分です。調味料による味付けは必要ありません。
■ 母乳やミルクは?
かみかみの練習が始まる9ヶ月ころまでは、母乳やミルクが主な栄養のもとです。しっかり与えて下さい。離乳食が3回しっかり食べられるようになったら、母乳やミルクを離乳食の後に飲むようにしましょう。離乳食のすすみ具合によって、自然と飲む量が減ってきます。むりにやめる必要はありません。1歳を過ぎたらコップで飲む練習を始めましょう。1歳半になったらミルクから牛乳にかえてもよいでしょう。
母乳をやめる時期は、お母さんが決めるのではなく、赤ちゃんが自然と卒業してゆくのを待てばよいと思います。最近では、断乳という言葉の代わりに卒乳という言葉が使われています。
■ 離乳食からの卒業
一日3回、形のあるものをかみ砕いて食べれるようになって、栄養の大部分が食事として食べるものになったら、そろそろ卒業です。
家族の食卓に一人前として座ることが出来るのです。ただし、テーブルマナーを教えるのは、これからです。遊び食べや、散らかし食べは、大目に見て下さい。家族がそろって楽しく食べることが優先です。
■ ジュースやイオン飲料水の飲み過ぎに注意
食事の時の水分はお茶やおさゆで十分です。いつもの食事にイオン飲料水や甘いジュースを飲むのは糖分や塩分の取りすぎになります。虫歯や食欲低下の原因にもなります。
ただし、下痢をしたり、吐いたりしているときの水分補給として子ども用イオン飲料水を飲ませるのは特別です。