抗生物質の適正使用について
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「とりあえず抗生物質を!」
「心配だから抗生物質を!」
「風邪を早く治したいから抗生物質を!」
を見直してみましょう。
■ 抗生物資は大切な薬
抗生物質は細菌感染症を治療するための大切な薬です。抗生物質の開発により人類は多くの細菌感染を克服することができ、命をながらえることができるようになりました。
しかし、必要でない多くの病気に対して安易に抗生物質が乱用にされるようになってきました。
大切な薬だからこそ、よく考えて使う必要があります。
■ 抗生物質は細菌感染症の確証がある場合にのみ処方されます。
細菌感染を確認するためには詳細な診察に加えて血液検査などのいろんな検査を行わなければなりません。
抗生物質が無効なウイルス感染を診断するための検査も必要です。インフルエンザ、アデノウイルス、RSウイルス、ヒトメタニューモウイルス、ロタウイルス、ノロウイルス、新型コロナウイルスなど簡単にできる検査が普及してきています。子どもには負担が増えますが必要のない抗生物質を使わないためには必要です。
■ 子どもの感染症の主な原因はウイルスです。
抗生物質物質が必要な病気は限られています。子どもによく見られる発熱、咳、鼻水、下痢、嘔吐などに抗生物質が必要になることはまれです。
■ なぜ抗生物質を乱用してはいけないか?
1.抗生物質の効かない耐性菌を増やす。
多くの細菌が抗生物質の乱用によって耐性化してしまうことが問題になっています。特に、耐性菌を克服するために新たに開発された「新薬」の使用には慎重であるべきです。
2.抗生物質には副作用がある。
人間の体は無数の菌やウイルスで守られています。特に腸内細菌は栄養の吸収や、必要な栄養素を作るために大切な役割を果たしています。抗生物質は大切に育んできた腸内細菌にも大きなダメージを与えます。抗生物質を飲むと下痢するのもその一つの症状です。
皮膚も多くの細菌によって守られています。抗生物質を飲むと、カビの一種であるカンジダが繁殖して「がこうそう」や、オムツかぶれが出来るのは、皮膚を守っていた細菌が抗生物質によって減ってしまった結果です。
そのほかにも低血糖、薬疹、肝機能障害など……..様々な副作用を引き起こすことがあります。